セレニオン |
おおぉー、有無を言わさぬ、圧倒的な香り。吹き付けた直後は、大人しいような感じだったのですが、それも、一瞬。なんだ! この拡散性。最近は、会社の同僚(38歳女性)に実験台として協力して貰っていたりするのですが、1プッシュで、職場の事務所を支配。これは、ちょっとヤバイ。と、・・ 馥郁、豊潤、豊饒、そして、品良く、気高く、なにより、華やか。本当に、有無を言わさぬ、圧倒的に良い香り。それだけに、本当にもう、場違い感甚だしかったのです。・・ 心落ち着けて、眼を閉じて、この香り、今時、いったい誰が、どんな場所で纏えるんだと、思い浮かべてみたのですが、・・ 皆無。お風呂上りに付けて、この香りに埋もれ、翌朝、出勤。そのくらいのタイムラグがあったら使えるかな。そのくらいの持続力も備えていらっしゃいます。(おのずと敬語)
それにしても、・・ これが、クラシックの名香全般に言える弱点なのかもしれません。回帰して欲しいと思っても、時代の流れは止められるはずもなく、勿論、戻れるはずもなく、・・
でも、ただ、思いをはせることくらいは出来るかな。もう亡くなった小説家に中井英夫という方がおられたのですが、彼が、植物学者であった兄の事を語っている、「植物の話をするとき、兄はいつも少し傷ましそうに、まるでかつて存在していたものの思い出を語るような口調になる。私にはそれが不思議でならない。兄の眼には、植物はもうもうとうに滅んだ世界の情景に映るのだろうか。」 そんな一節を思い出してしまいました。
豪奢で、贅沢な香りでした。
ポーラ最高峰の香り、1度嗅いでみたいと思われる方がいらしたら、是非、ご一報下さい。差し上げます。